この大会は是非見に行きたかったのですが、五味隆典の参戦が発表されてからチケットはほぼ即売状態で、当日券も長蛇の列が並ぶほどの盛況だったようで。
格闘技ファンの方ならすでに知っている通り、五味が復活のTKO勝利を収めました。
PRIDE崩壊後、戦極ではパッとした試合もなく、格下に敗北するなど不完全燃焼の時間が長かったせいか、今回の完全燃焼は五味ファンにとって待望の復活勝利といえるでしょう。
戦極第一陣ではドウェイン・ラドゥイックにはTKO勝利ではあるものの、流血によるドクターストップでキッチリ勝ったとはいいがたく、
第四陣のハン・スーファンにはらしくない判定勝利。
第六陣のセルゲイ・ゴリアエフ戦ではまさかの判定負けを喫し、今年初めの戦極の乱2009では北岡悟に秒殺一本負けと約2年間もの間その実力を完全に発揮することはなく、
一部のファンの間では五味は燃え尽き症候群とも終わったとも言われていました。
しかし今回の中蔵隆志戦では両者とも緊張感のある打撃戦を演じ、2Rに五味がボディを効かせてからの右ショートアッパー、左フック右ストレートでダウンを奪い、パウンドで追撃しTKO勝利を収めました。
私も含め、五味を見続けてきたファンにとってようやく満足できる形での勝利を見ることができたのではないでしょうか。
今回の五味はボディへの打撃が有効に打てており、それが直接の勝因に繋がったと思います。
対する中蔵もジャブが上手く、時折ローを混ぜるなど五味とは違った打撃の上手さを見ることができました。
今回の五味の勝利にはファンとしてとても嬉しいのですが、この盛り上がりにはやはり中蔵という対戦相手がいてこそだとも思いました。
なぜなら試合内容は終始打撃戦であり、両者ともにテイクダウンを狙うそぶりはなく、五味にとって噛み合う相手だったということです。
ジェンス・パルヴァー戦やルイス・アゼレード戦など五味の魅力が発揮された試合というのはたいてい相手がストライカーです。
今回の中蔵戦もこういってはなんですが、テイクダウンを狙いにいく選手だったらこの盛り上がりはあったかどうか。
多くの方が五味勝利に歓喜する中、この興奮生んだ影の功労者である中蔵にも拍手を送りたいと思います。
もちろん勝利者である五味にはもっと大きな拍手を。
やはりよい試合にはよい選手とよい選手の二人が必要不可欠だと再認識した試合でした。